見やすいサイト作りの第一歩:カラーアクセシビリティを理解しよう

webデザインとアクセシビリティ

 

 

1. カラーアクセシビリティとその必要性

カラーアクセシビリティという言葉をご存知でしょうか。これは、視覚に障害のある方や、色覚異常の方(色覚多様性者)など、全ての人がWebサイトやアプリなどのデジタルコンテンツを、平等に利用できるようにするためのデザインの考え方です。

色覚異常は、日本人の男性の約20人に1人、女性の約500人に1人が該当すると言われています。つまり、私たちの身近にも、色が見え方が少し違う人がいるということです。
NPO人にやさしい色使いをすすめる会「色覚についての基礎知識」

色覚多様性者にとって、特定の色同士の組み合わせは、区別がつきにくいことがあります。そのため、色だけに頼らず、形やパターン、文字の大きさなど、複数の要素で情報を伝えることが重要です。

また色覚多様性者でない人にとっても、見やすい・わかりやすいサイトは満足度を高めます。多様性への貢献を重視することで、社会全体への貢献につながります。そのためブランドイメージの向上を見込めます。
さらに、今後、ウェブアクセシビリティに関する法規制が強化される可能性も考えられます。
【2024年新法施行】Web担当必見のウェブアクセシビリティ対応を徹底解説!義務化するの?

カラーアクセシビリティは、単なるデザインの流行ではなく、社会全体の課題解決に繋がる重要な考え方です。全てのユーザーが快適に利用できるデザインを目指し、より良いデジタル体験を提供していきましょう。

2. コントラスト比の重要性

デザインにおいて、コントラスト比は、視覚的な情報をどれだけクリアに伝えられるかを左右する非常に重要な要素です。これは、単にデザインを美しく見せるだけでなく、全てのユーザーが快適に情報を取得できるという、アクセシビリティの観点からも欠かせない要素です。

コントラスト比が低いデザインでは、文字や画像が背景に溶け込んでしまい、視認性が低下します。特に、小さな画面で閲覧する場合や、照明条件が悪い環境では、この問題は顕著になります。結果として、ユーザーは情報を探し出すために余計な労力を費やすことになり、ストレスを感じたり、誤った情報を得てしまう可能性も高まります。

では、コントラスト比はどのように調整すれば良いのでしょうか?

WCAG 2.1の基準: Webコンテンツのアクセシビリティに関する国際的なガイドラインであるWCAG 2.1では、通常のテキストに対して少なくとも4.5:1のコントラスト比が推奨されています。この基準を満たすことで、多くのユーザーが快適にコンテンツを利用できます。
 WCAGガイドラインとは?こちらの記事で解説しています↓
 WCAGガイドラインで実現する誰もが使いやすいWebサイト

色の組み合わせを入力すると、自動的にコントラスト比を計算してくれるツールがあります。Syncerなどのオンラインツールを利用することで、簡単に確認できます。
 ウェブクマさん!「色のコントラストチェッカー(Syncer)」

コントラスト比を適切に調整することは、ユーザビリティの向上に直結します。視認性の高いデザインは、ユーザーの満足度を高め、ウェブサイトやアプリの利用時間を増やすことに繋がります。

コントラスト比は、デザインの美しさだけでなく、全てのユーザーが快適に利用できるという点で、非常に重要な要素です。WCAGなどのガイドラインを参考に、コントラストチェッカーなどのツールを活用することで、よりアクセシブルで使いやすいデザインを実現しましょう。

3. 色のみに頼らないデザイン手法

色覚多様性者の方にも分かりやすいデザインを作成するには、色だけに頼らない工夫が重要です。では実際にどのような点に考慮してデザインを作れば良いのでしょうか?

グラフを例にしてみましょう。
色分けをされた円グラフは、一目見て割合の多少がわかりやすいですが、色覚多様性者にとっては不親切なグラフになってしまいがちです。色以外の要素を活用することを検討してみましょう。

色以外の要素を活用する

  • 形: 線の種類(実線、点線、破線など)、マーカーの形(丸、三角、四角など)を異なるものにすることで、データの区別をわかりやすくします。
  • パターン: 塗りつぶしのパターン(斜線、ドットなど)を変化させることで、視覚的な差異を明確にします。
  • 大きさ: 棒グラフや円グラフの要素の大きさを変えることで、データの大小を表現します。

色の組み合わせに注意する

凡例を工夫する

  • 色だけでなく、形やパターンも表示する: 凡例に、色だけでなく、グラフで使用した形やパターンも表示することで、より正確にデータと凡例を紐づけることができます。
  • 凡例の位置: 凡例はグラフの近くに配置し、データと同時に確認できるようにしましょう。

その他の工夫

  • データラベル: データポイントに直接数値やラベルを表示することで、グラフを見なくてもデータを読み取れるようにします。
  • タイトルや説明文: グラフのタイトルや説明文を分かりやすく記述し、グラフ全体の意図を明確にします。
  • シンプルなデザイン: 余分な装飾を避け、グラフの情報をシンプルに伝えるように心がけましょう。

ツールの活用

  • Excel: 条件付き書式やグラフの種類を工夫することで、色覚に配慮したグラフを作成できます。
  • Google Sheets: Excelと同様に、条件付き書式やグラフの種類を工夫できます。
  • データ可視化ツール: Tableau、Power BIなど、より高度なデータ可視化ツールでは、色覚に配慮した機能が搭載されているものもあります。

具体的な例

  • 折れ線グラフ: 各データ系列に異なる形状の線を使用し、色だけでなく、線の種類で区別します。
  • 棒グラフ: 各棒に異なるハッチングパターンを適用し、色だけでなく、パターンで区別します。
  • 円グラフ: 各セグメントに異なる色とパターンを適用し、データラベルを付けて、データの割合を明確にします。

まとめ

色覚多様性者の方にも分かりやすいグラフを作成するためには、色だけに頼らず、様々な視覚要素を組み合わせることが重要です。これらの工夫を心掛けることで、より多くの人に情報を正確に伝えることができます。

 

まとめ

本記事では、カラーアクセシビリティの重要性について詳しく考察しました。

現在のデザインでは、色覚多様性を考慮し、すべてのユーザーに使いやすいことが求められています。
特に重要なのは、色のコントラスト比を適切に設定することです。
これによって、文字や重要な情報が見やすくなるだけでなく、多様なユーザーに配慮したデザインが可能になります。
また、色が情報を伝える唯一の手段とならないように、他のデザイン要素を活用することも不可欠です。

Webやアプリの開発では、多くのユーザーがどのように情報を受け取るかを深く理解し、誰にでも使いやすいデザインを考えていく必要があります。
カラーアクセシビリティは単なるトレンドではなく、持続可能なデザインのための基盤となるでしょう。

 

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