1. Webデザインに心理学が重要な理由
サイトを訪問した方に「このサイト、わかりやすい!」「もっと使いたい!」と思ってもらうためには、どんなデザインにすればいいんだろう?そんな疑問をお持ちではないでしょうか。
その答えは「心理学」にあります。
AIが発達しても、そのすべてを使うのは人間です。私たちの心を動かすものが何なのかを知ることは、今後ますます重要性を帯びてきます。せっかくwebデザインを学ぶのですから、心理学を意識して、ユーザーに「使いやすい」と思ってもらえるデザインのやり方を取り入れていきたいですよね。
この記事では、初心者の方でも簡単に実践できるよう、Webデザインに取り入れるべき心理学の基本ポイントを解説していきます。色の選び方、視線を誘導するテクニック、余白の使い方など、ユーザーが快適に感じ、行動を起こしやすいデザインのコツを紹介します。
2. 心理学の基礎知識をWebデザインに活かす
ではユーザーが「行動を起こしやすい」デザインというのは、いったいどうやったら作れるのでしょう?その答えは「視覚心理学」と「ゲシュタルトの法則」にあります。
1. 視覚心理学:ユーザーの目線を意識する
視覚心理学とは、人間の「視覚」がどのように情報を受け取るかを研究する分野で、Webデザインにも多くの応用ができます。たとえば、ユーザーがページを開いた瞬間にどこに目を向けるかを知ることは、重要なメッセージやボタンの配置を決める上で非常に役立ちます。
ある実験によると、人間の目は大きくて鮮やかなもの、コントラストの強いものに引きつけられやすい傾向があります。この性質を利用し、サイトの中で強調したい要素(例えば「購入」ボタンや「登録」ボタンなど)に目が行くように、色やサイズに工夫を加えることができます。たとえば、全体が淡い色のサイトに一つだけ明るい色のボタンを配置すると、ユーザーは自然にそのボタンに目を向けやすくなります。
2. ゲシュタルトの法則:人が情報を「まとまり」として捉える仕組み
「ゲシュタルトの法則」は、ドイツの心理学者たちによって提唱された法則で、人間が複数の要素をどのように認識するかを示しています。Webデザインに取り入れることでユーザーにとって「わかりやすい」デザインが作れるようになります。
ゲシュタルト心理学について、詳しくはこちらの記事もどうぞ↓
ゲシュタルト心理学の基本とWebデザインへの活用
代表的なゲシュタルトの法則とその応用
- 近接の法則
近接の法則とは、近くに配置された要素が「一つのまとまり」として認識されやすいことを指します。たとえば、メニュー項目を一列に並べたり、情報の関連性がある要素同士を近くに配置することで、ユーザーが直感的に情報のまとまりを理解しやすくなります。 - 類似の法則
類似の法則は、色や形が似ている要素が「同じグループ」として認識されやすいというものです。例えば、製品の特徴を表示する際に同じアイコンスタイルや色で統一することで、情報が視覚的に整理され、ユーザーは一目で「関連性のある情報」を理解できます。 - 閉鎖の法則
閉鎖の法則は、未完成の図形でも人間は自然に「全体像」を補って見るという法則です。例えば、画像やテキストを枠で囲むことで「ここに重要な情報がある」とユーザーに感じてもらいやすくなります。また、ボタンを枠で囲むデザインも、ユーザーがボタンと認識しやすくなる効果を生みます。
3. Webデザインに役立つ心理学の応用テクニック
ユーザーが「行動を起こしやすい」サイトを作るために、具体的にどのように応用していくのか?3つのテクニック「色彩心理学」「コントラストと視線誘導」「余白の使い方」について見ていきましょう。
1. 色彩心理学:色がユーザーの感情に与える影響
色は、ユーザーに特定の感情や印象を与える非常に強力な要素です。色彩心理学に基づく色の選択は、ユーザーの感情を動かし、行動を促す効果を持ちます。各色が一般的に与える印象を理解し、デザインに活かしてみましょう。
例:色の持つ印象
- 青:信頼感や冷静さを表し、企業サイトや医療関係のWebサイトでよく使われます。
- 赤:情熱やエネルギーを表現する色で、CTA(コールトゥアクション)ボタンなどで「クリックしたくなる」効果を生みます。
- 緑:安心感やリラックス感を与える色で、自然や環境に関連するサイトでよく使用されます。
たとえば、購買ページで「購入」ボタンを目立たせたい場合は、ユーザーの行動を促す赤やオレンジなどの色を選ぶと効果的です。
また、青は「食欲減退色」であるという話を聞いたことがありませんか?逆に、赤や黄色などは「おいしそう」という印象を高める色だということがわかってきています。作るサイトが食品に関するものである場合には、こういったことも考慮していく必要があります。
2. コントラストと視線誘導:ユーザーの視線をコントロールする
ユーザーの視線をコントロールし、重要な情報や行動を促すポイントに自然と目が向くようにすることも心理学に基づいたデザインテクニックの一つです。特に、コントラストの使い方は視線誘導において重要な役割を果たします。
視線誘導の例
- ボタンと背景のコントラスト:CTAボタンと背景に強いコントラストをつけることで、ボタンが際立ち、ユーザーがアクションを起こしやすくなります。
- 画像や矢印による誘導:人は他人が見ている方向を無意識に追う傾向があるため、例えば、人物がボタンに目線を向けている画像を使うことで、ユーザーもその方向に自然と注意を向けます。
視線誘導のテクニックを使うことで、ユーザーが迷うことなく次の行動に進むデザインを構築できます。
3. 余白(ホワイトスペース)の使い方:情報を整え、見やすさを向上させる
余白、またはホワイトスペースは、要素と要素の間に適度な空間を取ることで、デザインをすっきりと見せ、情報を整理するために重要な役割を果たします。初心者には見落としがちなテクニックですが、余白を効果的に使うことで、ユーザーが快適に情報を閲覧できるデザインになります。
余白の応用例
- テキスト周りの余白:文字の行間や段落ごとの余白を適切に取ることで、読みやすさが向上し、ユーザーが文章を理解しやすくなります。
- セクションの区切り:関連性のある情報をグループ化し、セクションごとに余白を設けることで、情報が整理されて見やすくなります。
余白を適切に取り入れることで、ユーザーがストレスを感じずに情報を閲覧できるため、デザインの全体的な印象も良くなります。
これらの応用テクニックを使えば、ユーザーが「行動しやすい」デザインを作れるようになります。
次の章では、さらにユーザーの行動を引き出す心理トリガーについてご紹介します。
4. Webデザインで行動を誘導する!心理トリガー
Webデザインに心理学を活用することで、利用者が「行動を起こしやすい」サイトを作ることができます。ユーザーに意図した行動を促すための心理トリガーとしては、「行動心理学」「信頼を生むデザイン要素」「スカ―シティ(希少性)とソーシャルプルーフ(社会的証明)」が知られています。
利用者が商品を購入したり、会員登録をしたりといった行動を起こしやすいサイトを作るには、どのようなことができるでしょうか?詳しく見ていきましょう。
1. 行動心理学と行動を促すデザイン
行動心理学の観点から、特に重要なのが「行動を促すデザイン」です。ユーザーがボタンをクリックしたり、フォームに入力したりといった行動を起こす際には、ちょっとした工夫が大きな差を生み出します。
CTA(コールトゥアクション)の工夫
- 具体的な文言を使う:「こちらをクリック」ではなく「無料で試してみる」といった具体的なアクションを明記することで、ユーザーの関心を引きやすくなります。
- 配置と目立ち方:CTAボタンはスクロールせずに見える位置に配置するのが理想です。また、ユーザーの目線を集める色や形にすることで、自然にボタンに視線が向かい、クリックしやすくなります。
2. 信頼を生むデザインの要素
ユーザーがWebサイトで行動を起こすためには、まずサイトに対する「信頼感」を持ってもらうことが必要です。信頼を築くために、具体的なデザインの要素を見直しましょう。
信頼感を高めるためのポイント
- レビューや証言:ユーザーの信頼を得るためには、他の顧客からのレビューや評価を表示すると効果的です。実際の購入者や利用者の声が表示されていると、ユーザーは「この商品(またはサービス)は信頼できる」と感じやすくなります。
- 認証バッジや受賞歴:セキュリティや認証マーク(SSL証明書や第三者機関の認定バッジ)を表示することで、ユーザーに安心感を提供します。特に決済ページやフォームがあるページでは効果が大きく、離脱率の低下が期待できます。
3. スカ―シティ(希少性)とソーシャルプルーフ(社会的証明)
心理学では、「希少性」と「社会的証明」の原則が、ユーザーに行動を促す強力なトリガーになるとされています。これらを上手に活用することで、ユーザーが「今すぐ行動しなければ」と感じるようにすることができます。
希少性の活用
- 在庫や限定数の表示:「残り3個です」や「限定50名」といった希少性を表示することで、ユーザーは「手に入れるなら今しかない」と感じ、購入に踏み切りやすくなります。
- 期間限定オファー:期間限定のセールや特別価格のカウントダウンタイマーを表示することで、急いで行動しようという気持ちが生まれやすくなります。
社会的証明の活用
- 人気アイテムや他のユーザーの行動を表示:多くの人が購入した商品や評価の高いアイテムには、「人気アイテム」や「○○さんが購入しました」といった表示を加えることで、ユーザーが他の人の行動を参考にしやすくなります。
- SNSでのシェアやいいね数の表示:多くの人が支持していることが視覚的にわかると、ユーザーも「この商品(またはサイト)は信頼できる」と感じやすくなり、購入や登録へのハードルが低くなります。
これらの心理トリガーを取り入れることで、ユーザーが自然と「行動したい」という気持ちになるデザインが完成します。
5. まとめ:心理学を取り入れたWebデザインの作り方
この記事では、Webデザインに心理学を活用することで、ユーザーの視線をコントロールしたり、行動を促したりといった効果を引き出す方法をご紹介しました。心理学を取り入れたデザインは、見た目だけでなくユーザー体験を豊かにし、ユーザーが快適に使いやすいWebサイトを作り上げるのに役立ちます。
心理学を活かすための基本ポイント
- 視覚心理学とゲシュタルトの法則:ユーザーが自然に見やすいレイアウトを作るための基礎として、視線誘導や情報のまとまり方を意識しましょう。
- 色彩心理学や余白の使い方:色や余白を適切に使い、視覚的な整理をすることで、ユーザーにとって心地よいデザインを実現できます。
- 行動を促す心理トリガー:CTAボタン、レビュー、希少性や社会的証明といった要素で、ユーザーの行動意欲を高め、Webサイトでのアクションを促すことが可能です。
初心者におすすめの実践方法
初心者がWebデザインに心理学を取り入れる際は、まず小さなステップから始めるのがおすすめです。たとえば、デザインの基本として「色の使い方」や「視線誘導」を意識したり、重要なボタンや情報の配置を工夫してみるだけでも、デザインの印象が大きく変わります。
千里の道も一歩から。日々デザインに触れ、テクニックを分析してみるときに、「このデザインにはどんな心理学が使われてるんだろう?」という視点を加えてみるだけでも大きく違うはずです。
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